スタッフブログ

仕次ぎで古酒はおいしくなるのか?

仕次ぎをした古酒としなかった古酒では香味はどう違うの?
ほんとに仕次ぎをしたほうが古酒はおいしくなるの?

そういった疑問の答えになりそうな論文が、2021年の日本醸造協会誌7月号に掲載されていたのでご紹介します。とは言っても、私も不勉強でこの論文で使われている統計学的な考え方はよく分かっていません。なので、結果のみ記載します。興味のある方は、原本を読んでみてくださいね。

評価したサンプルは平成30年から毎年3年間行われた「泡盛仕次古酒・秘蔵酒コンクール」の出品酒です。酒質の特性は、QDA法という評価方法で、特別に訓練された評価員によって評価されています。

さて、甕貯蔵酒のうち、「仕次ぎを行った古酒(以下、仕次ぎ古酒)」と「仕次ぎ行わずにずっと置いていた古酒(以下、秘蔵酒)」を比較した場合の結果は以下のようになりました。

  • 香味の特性は全体的に似ている。
  • 仕次ぎ古酒の方が強度が高かったのは、「ドライフルーツ」、「バニラ」、「カラメル様」。
  • 秘蔵酒の方が強度が高かったのは、「刺激感」、「オイリー」。
  • ただし、ハッキリとした差ではなかった(有意水準5%以下ではなかった)。

以上のことから著者は、仕次ぎには、甘い香味を増強させる効果があることが示唆されるとしています。


<香味特性の定義>

「ドライフルーツ」・・・ドライフルーツやレーズンなどの乾燥凝縮した果実や赤ワイン、ブランデーを連想する香り

「カラメル様」・・・カラメル、蜂蜜、糖蜜を連想する香り

「バニラ」・・・バニラを連想する香り

「甘い風味」・・・含み香や後味として感じる甘い風味(甘い味と甘い香り)。上立香で感じる甘い香りは除く

「刺激感」・・・刺激的な口あたり。辛味、渋味などの口中感覚も含む

「オイリー」・・・舌にまとわりつくような油っぽい口あたり

日本醸造協会誌 7 (2021)